新サクラ大戦の感想です。
100点満点で評価するなら40点
という出来栄えです。
セガ傘下のアトラスは凄いが、セガの本体には開発力がないということを証明しているような印象
荒唐無稽なストーリーと声のついていない一部のカットシーン
まず、ストーリーは大味かつ荒唐無稽です。
お世辞にも上手く練られた物語とは言えず、駄目なテレビアニメを見ている感じです。
ツッコミどころ満載です。
展開を詰め込みたいあまり、足早に問題が解決されるため、感動も何もない。
カットシーンとプレイアブルシーンを通した物語体験、ナラティヴの「丁寧さ」が全く感じられません。
全体的なシナリオのディレクションも酷く、物語はバカバカしく感じるだけです。
作中でとあるキャラクターが瀕死の状態になり治療を受けるのですが、死にかけてたのにすぐにケロッと戻ってきます。どういうこと・・・
ストーリーでプレイヤーを驚かせようとはしているものの、そこに至る経緯の描き方が下手すぎて大して驚きません。
点と点を線で繋げるというより、「点と点を点線で繋げた」ような、作劇の下手さが顕著に表れています。当然ながら、そんな体たらくではキャラクターの魅力を物語で引き立てることはできない。それどころか、登場人物が情緒不安定です。
さらに、サブストーリーはカットシーンなのにボイスがついてない箇所がたくさんあるという手抜き。これにより、キャラクターはいきいきと動いてるのに音声がついてなくて字幕を読まなければならないというぎこちなさが生まれ、全くサブストーリーの内容が頭に入ってきません。
いまどき、海外ならインディーメーカーでもフルボイスで作ってくるのに、なぜカットシーンにボイスが入ってない箇所があるのか疑問です。
フルボイスだったら+5点くらいは可能です。そのくらいサブストーリーに声がついてないことに違和感がある。特にこのゲームはキャラクターの交流が重要なわけですから・・・。
ストーリーに関しては「とっ散らかっている」という表現が適切かと思います。
色々ひっくるめてキャラクターの魅力は薄い
今回、キャラクターデザインを久保帯人氏が担当しているわけですが、個人的にはやはり藤島康介先生のデザインの方が好きですね。サクラ大戦1の藤島先生のデザインは可愛いだけでなく上品さもあった。
サクラ大戦1がずば抜けてキャラクターが個性的で面白かったというのもあるかもしれませんが、新サクラ大戦はなんかぱっとしなかった。シナリオとかサブストーリーのボイスの有無、ゲームのボリューム等色々ひっくるめてキャラクターの魅力は薄かった。
戦闘服のデザインもセンスの差が。。。
工夫のないアクションパート
今回、戦闘がアクションゲームになりました。
インディーメーカーでもこんなの作らないぞ、というほど工夫がありません。
各機体はほとんど成長せず、序盤でも終盤でも似たようなアクションです。
機体が目に見えて強くなったりもしない・・・というかその必要性がない。
何か成長要素とか機体強化の要素があったらまだ良かったのかもしれませんが、そういったものがないので何の面白みもありません。
アクションのギミックも単純すぎて奥深さは皆無。
なんのためにアクションにしたの?と言いたくなる人も多いことでしょう。
「おまけで作りました」とでも言っているような創意工夫の無さで、アクションパートはただひたすらに苦痛です。
また、ロックオンができないので、2019年のアクションゲームとは思えないほど敵に攻撃を当てづらい。特に、空を飛んでる敵は倒すのが非常に面倒くさい。
メインストーリー絡みの戦闘では好きなキャラクターを使えるわけではないという点もマイナス。
性能的にアナスタシアの機体が圧倒的に強い。敵がいる方向に自動で弾を撃ってくれるので、敵から離れて◯を連打するだけで勝てる。バランスがおかしい。
ロボットモノのアクションとしても駄目ですし、爽快なアクションモノとしても駄目。良いとこ無しです。
高品質なグラフィックと低品質なアニメ
新サクラ大戦のグラフィックは良い方です。
帝国劇場を3Dで再現したのは良かったと思います。
特にキャラクターの表情や動きにはしっかりとモーションがつけられていて、3Dグラフィックや3Dアニメーションという点では悪くありません。(だからこそボイスがない部分が不自然)
戦闘時のエフェクトが綺麗です。
一方で、随所に挿入されるアニメのクオリティが低い。
3DCGも使っているアニメなので、なぜゲームのグラフィックでカットシーン作らないの?という疑問がわきます。また、2Dのアニメは単純に低品質です。
サクラ大戦3はもちろんサクラ大戦1の方がアニメーションのクオリティやセンスは上です。というか、サクラ大戦1のゲーム内に挿入されるアニメーションの品質はかなり良かった。
田中公平先生の音楽は◯
田中公平先生の楽曲は全体的に良質です。
「ゲキテイ」や「御旗のもとに」ほどインパクトのある曲はないですが、聴き応えがある曲は多いです。
セガと制作スタッフは田中公平先生に不出来を謝罪したほうがいいかも。
総評:セガはサクラ大戦を復活させる気まるで無し!
クリアまでなんとかプレイしましたが、セガには本気でサクラ大戦を復活させようという気概がない。
とりあえず田中公平先生に曲を書いてもらって、それっぽいものを作っておけば良いだろうと軽率に企画したのではないでしょうか。
良い物語だけどゲーム性が駄目とか、逆に物語は駄目だけどゲームプレイは面白いとかならまだマシなのですが、本作に限っては両方共落第点です。
おそらくミニゲームとして収録されている花札の「こいこい大戦」が一番面白い。
まさに初穂の台詞がピッタリ。
「味噌汁で顔洗って出直してこい!」
セガはぜひサクラ大戦の過去作をリマスターかなんかで出してほしいです。
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