1. 複雑なストーリーと「クラウドシンクシステム」
十三機兵防衛圏は13人の主人公がいるだけあり、時系列も設定も物語も複雑です。
しかし、ゲームならではの「クラウドシンク」システムによって、複雑な物語や設定が理解しやすくなっています。
クラウドシンクは物語の中で登場したキーワードを主人公の頭の中で思い浮かべて、それぞれのキーワードの情報を掘り下げることができるシステムです。
これにより、重要なワードをプレイヤーが聞き漏らさないようになっており、ストーリーに置いていかれにくいです。
これがアニメやドラマ、映画といった媒体だと、重要なワードや設定を聞き漏らしたり、忘れてしまったりすると、ゲームと同じレベルで物語が楽しめなくなります。
十三機兵防衛圏の複雑なストーリーをプレイヤーがしっかり楽しめるのはこのクラウドシンクのおかげだと言えます。
アニメやドラマの場合、当然クラウドシンクは出来ませんから、視聴者の理解がゲームのようにはいかない可能性が高いです。
2.キャラクターを操作することによる没入感
十三機兵防衛圏はアドベンチャーゲームですが、いわゆるビジュアルノベルと異なり、キャラクターを動かすことができます。キャラクターを動かして何かを調べることでストーリーが進んだりします。
これによって主人公達への感情移入や、世界観への没入度が増し、映像を見せられているというよりは、その世界を冒険・体感しているという感覚を得られます。
こういったゲーム的な進行が、プレイヤーの物語への興味関心を誘引することができています。
3. ヴァニラウェアのグラフィック
十三機兵防衛圏のグラフィックは他に類を見ないほど作り込まれています。
ヴァニラウェアの職人達が手作業で作っていったものです。真似したくても真似できませんし、ヴァニラウェアが二度と作れないと言っているほどです。
水彩画のような背景、迫力のあるエフェクト、そしてキャラクターの細かな動作。
これらはアニメや漫画では出せないテイストです。
アニメにしたとしても、ゲームの映像表現に勝てない・・・
4. ストーリーがゲームをメタ的に利用している
十三機兵防衛圏のストーリーの一部は、ゲームとしてプレイしているからこそ理解できる物になっています。
ネタバレになるので細かく書きませんが、他の媒体だとゲームプレイがないために「何のこと?」となってしまう部分があります。
また、前回と同じだけど少し違うという状況(プレイした人は緒方のルートでたぶんわかる)は、ゲームだからこそ十分に意味を為します。
5. 文字情報
漫画や小説ならともかく、アニメや映画、ドラマといった映像媒体にできないのが「文字」による情報提供です。
十三機兵防衛圏では全てのセリフに字幕が出ますし、先述のクラウドシンクもあります。十三機兵防衛圏では文字を出しすぎないバランスが優れています。
プレイヤーが能動的に文字を読むことによって、物語や世界設定への理解を深めることに一役買っています。
おそらく、十三機兵防衛圏をゲームではない媒体で作ると「それっぽいもの」が出来るだけで、ゲームほど満足できる体験にはならないでしょう。
Fateやペルソナはアニメでも通用する理由
「Fate」や「ペルソナ」のような映像化ができないのかと思われる人もいるでしょう。
しかし、Fateは主人公が衛宮士郎だけで、物語の構造も比較的シンプルなので細かな設定を理解せずとも、サーヴァントの戦闘シーンで魅せることができる作品です。
また、原作がビジュアルノベルなのでキャラクターを操作しません。選択肢だけです。
立ち絵とイベントCG中心なので、映像化した時にゲームよりビジュアル面では良くなる可能性の方が高いわけです。
何度もアニメ化されているペルソナシリーズですがこちらも主人公が一人だけです。
そして、ペルソナの場合、ゲーム側がむしろアニメのようなメディアに寄せています。
複雑な用語がたくさん出てくることもありません。
それでも、プレイヤーがペルソナで実際に体験する日々はアニメでは完全には描けません。
マブラヴ オルタネイティヴも映像化は難しいはず
十三機兵防衛圏同様に、アニメや映画は難しいと思われるのがマブラヴです。
マブラヴの物語にもメタ的な要素があり、さらに設定がかなり細かく複雑で、ゲーム的な演出を利用していることもあり、ゲームだから体験できる面白さだと思います。
ゲームにおける世界設定や登場人物の状況、専門用語を深く理解していないとストーリーを十分に楽しめないタイプの作品は映像化するのが難しいと言えます。
原作がゲームの仕組みを利用した物語の作品では「CLANNAD」もそうで、アニメだけではCLANNADを完全に理解するのが難しくなっています。
コメント