ラストオブアスパート2のストーリーやキャラクターについての簡単な考察です。
当然ですがネタバレを含みますのでご注意ください。
未プレイの方は先にプレイすることを強くおすすめします。
アビーというキャラクターについて
今作でプレイヤーが操作するもう一人の主人公とも言える「アビー」ですが、なぜあれだけムキムキなのか?度を越してマッチョなキャラです。
アビーは復讐心の象徴のような姿をしているのだと考えられます。
親の仇を討つため、鍛えに鍛えて、男勝りの肉体になった。
アビーは物語の序盤でジョエルを殺し、目的を果たします。
しかし、復讐を果たしたのに父の夢を見たり、心が晴れたわけではなかったはずです。
アビーは旅の中でヤーラやレブと出会い、レブと行動し、ヤーラを救うという経験を経ることで、父を失った苦悩から徐々に解放されていきます。
自分を助けてくれた人を救いたいという想いが、助けられなかった父親への後悔と苦悩から立ち直らせてくれたわけです。
だからこそ、劇場でエリーと一騎打ちになった時、エリーを殺さなかった。
そして最後、アビーは捕まって痩せてしまいます。もうムキムキではなくなってしまうわけですが、その時にはもうアビーはエリーを殺そうとは全く考えていません。むしろレブを助けなければという思いの方が強くなっています。
もはや復讐心の象徴である鋼の肉体では無くなっています。
エリーの復讐の旅
エリーの旅はアビーの旅とは正反対です。
旅を重ねる旅にどんどん復讐心に飲まれていきます。
残虐な事も平気でできるようになり、ついには妊婦を殺してしまいます。
そしてついにはディーナとその子供との平穏な暮らしよりも復讐を優先してしまいます。
終盤、エリーはアビーを殺そうとします。この時、エリーは復讐心に飲まれ本当にどん底のどん底まで落ち、プレイヤーが「アビーを殺さないでくれ。もう終わりにしてくれ。」と感じた瞬間、エリーは自分が飲み込まれていた復讐心から解放され、2人を見逃します。
本作におけるギターはジョエルの象徴です。
最後の最後、エリーが部屋にギターを置いて行ったのは、ジョエルの死を受け入れることができ、復讐ではジョエルの死という事実を変えられないという事も受け入れた証のように思えます。
そして更に言えば、ジョエルがエリーをラストオブアスの最後で救ったという事についても、エリーは自分なりに納得したのではないでしょうか。
「愛」は人を救うだけではなく、人を狂わせる
ラストオブアス1では、ジョエルがエリーに親心のような愛情を感じたことで、人類が助かるかも知れない可能性を捨てエリーを助け出しました。
アビーはその逆。つまり、父親との家族愛があったからこそ、ジョエルに父を殺されてしまったことが強い復讐心に繋がったわけです。
そしてエリーを復讐の旅に出させ、残虐な行為ができる人間に変えたのも、愛情だったということになります。
The Last of Us Part IIの目的
「エリーにアビーを殺してほしくない」とプレイヤーに心の奥底から感じさせることが、ラストオブアスパート2という作品の最終目標のように思えます。
ゲームのストーリーで、本当にプレイヤーの感情を変えるのは至難の業です。
ましてやプレイヤーが最も愛するべきキャラクターの1人であるジョエルを殺したアビーです。その感情の変化をプレイヤーに心の底から感じさせることが、この作品の挑戦なのでしょう。
個人的には、この作品は明確なテーマはあえて持たず、人間が負の感情に囚われた状態からも立ち直れるというのを描いているような印象を受けました。
作品内では暴力がもたらす結果が生々しく描かれていますが、それが良くない事だというのは誰もが頭では理解していることです。だからこそ、エリーやアビーのように感情に飲まれてしまう事の恐ろしさがよく伝わってきます。
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