原神の魔神任務 空月の歌 五幕・六幕で、執行官のドットーレが何をしたのかを解説します。
この部分はやや難解になっていますので丁寧に解説します。
「変数」の蓄積
博士はテイワットにとっての変数を蓄積し続けていました。
アリス曰く「知り得ないことを知る」「普通なら思いつかないようなことを思いつく」こういったことが変数だとしています。
テイワットにとっての変数は、旅人のような降臨者、アビスの力といった、外界の存在が該当していました。
しかし、博士はテイワットで生まれた存在にも関わらず、普通の人間なら知り得ない情報を数多く知識として蓄積していたのです。
例えば、博士はスメール編までは自分をたくさんの「断片」に分けて、異なる時代に配置して、世界の観測を行っていました。これにより、昔の時代の自分が起こした変化による影響を、後の時代にいる自分がすぐに観測できるのです。普通なら知り得ない知識です。
大量の変数を蓄積した博士
テイワットでは「運命システム」が天理達によって設定されています。運命システムは、テイワットの人々の運命を固定し、そこから外れることを許しません。(おそらく、運命から外れそうになった者に神の目を与えて監視)
人々の運命を固定することで、天理はテイワットを予測可能な状態にしたと考えられます。
運命が決まっているテイワットにおいて、「変数」とは「本来存在しないはずの可能性」です。
博士は「変数」を積み重ねて「本来ありえないこと」を起こしたのです。
大量の「変数」を知識にして蓄えている博士は、「本来存在しないはず可能性(別の可能性=分岐)」を無数に持っているようなものです。
虚影は世界の記憶を参照して投影されていると考えられますが、ニコは正しい歴史を覚えていました。
つまり、マハールッカデヴァータの時のような記憶の改変ではなく、虚影の持っていた情報だけ博士によって改竄されてしまったのだと推測できます。
放浪者:
これこそドットーレがあらゆる手段を使って築き上げた「可能性」だ。
テイワットの人々と違って、虚影の人々は世界樹から正しい記憶を参照できません。だからこそ、博士の持つ「別の可能性(変数)」の影響を受けやすいのです。
魔神任務「伽藍に落ちて」のニコの台詞
バージョン3.3の頃の魔神任務で、魔女Nことニコが非常に大事なことを言っています。
ニコ:
でも残念ながら、テイワットの運命はそう容易く揺らぐものじゃないわ。神ならばまだ少し可能性があるけど、そうでないなら…難しいわね。小さな動物が木にぶつかれば、木は揺れる。でも、傾きと位置が変わることは別の物なの、運命もそれと同じね。
まさに瓶が床に落ちるように、猫が割ったものでも、鳥が割ったものでも、割れたという結果に変わりはない。そうでしょう?
歴史は簡単には変わらないけれど、人々の心は変わる。自分の目を信じて。目に見えるものこそが真実であり、見えないものはすべて虚幻よ。
「伽藍に落ちて」では、パイモンが瓶を落として割ってしまいます。スカラマシュが世界樹を書き換えた後でも瓶は割れたままでしたが、パイモンは瓶を割った記憶を失っていました。
天理達によって作られたテイワットのルールでは、例えばマハールッカデヴァータの存在が世界樹から消されると、文献等の記述も全て辻褄が合わせられ、人々の記憶も改変されるようになっています。そしてテイワットの属する者はそれに気づくことはできません。
ニコがいうところの「木」は変数によって揺らぎます。しかし、揺らぎはするけど位置は変わらない(=運命は変わらない)。結果を変えるのは神でもなければ不可能だと言っているのです。
スカラマシュが過去に言った言葉をサンドローネは覚えている
スカラマシュは昔、サンドローネに「一番疲れる仕事を貰って、一番たくさん貧乏くじを引く」と言ったことがあります。
サンドローネは世界樹の書き換えによってスカラマシュの記憶を失っていますが、その言葉を言われたことは覚えています。
これは、テイワットのシステムは強い因果を補正できるが、細かなところまで全て修正しきれないのを証明しています。先述のパイモンが割った瓶も同じです。
博士はこのことに気づいていたのです。
結末を変えない程度の変化は起こせる。いるはずのない救世主を虚影に信じさせる。そして月に関する情報を入手する。
ドゥリンが虚影に対しアビスの力を使って何度も試行したところ、ラズマスペスを数分長く生き延びさせることに成功しました。これは「別の可能性」、つまり変数を生じさせ、それによってラズマスペスがドゥリン達を認識できるようになったのです。ただ、最終的に死んでしまうという因果(=確定されて世界に記憶されている)は変えられないので、何度やってもラズマスペスを助けることはできなかったわけです。
虚影のデータに本来なかった可能性を与えた
博士は過去を変えたわけではありません。
虚影は過去の記録から直接コピーされたものではなく、現在の時空でテイワットの歴史として収束している因果を映し出しているに過ぎません。
要は「娘を探すためラズマスペスはここに来た。敵に襲われてラズマスペスはこの時死んだ」というような因果情報だけ虚影は持っています。そのため、原因と結果に影響しない部分は変化させても虚影は維持されるのです。
博士は、天理達のテイワット管理システムが虚影を補正する力がほとんどないことを知っていたのでしょう。
思い出してみてください…
虚影はあくまで影に過ぎません。投影体が出現しただけで、物質的には何も起こっていないのです。虚影はナド・クライに何の被害も及ぼしていません。
だから天理達、テイワットの管理者にとって処理の優先度が低い→博士が付け入るスキが大きい。虚影自体は、祈月の夜が終わり、クーヴァキが弱まれば勝手に消えてしまうからです。
その隙を突くことで、博士は月に関するあらゆる情報を虚影から手に入れることに成功したわけです。
旅人だけ時間が止められても動けた理由
旅人は降臨者、つまりテイワットに属さない人間です。
博士は時の執政と同じ、時間を操作する力を月髄から手に入れ、それを利用して時を止めました。
しかし、旅人は世界樹に記録されないように、テイワットというシステムの中に組み込まれた存在ではありません。マハールッカデヴァータの記憶も覚えていますし、放浪者がファデュイだった頃の記憶も覚えています。
「時を止める」というは宇宙全体の時を止めているわけではないのです。あくまでテイワットというシステムの内部時間を止めたに過ぎない。
ゲームを一時停止しても、プレイヤー(ゲームの外にいる我々)は一時停止しないで動けるのと同じです。
偽物の月
博士がコロンビーナを捕獲できたのは、偽物の月を作ったからです。しかし、放浪者が言うように、実際に月を作ったのではありません。

虚影の中のヒュペルボレイア人を騙して手に入れた月に関する全ての知識
この情報を全て満たしていれば、それがどんな形状だろうとヒュペルボレイアの装置は「月」だと認識するのです。
チェックリストを想像してみてください。全ての条件にチェックが入るならそれは月であり、そこに転送するというのがヒュペルボレイア術式の仕組みというわけです。
博士はヒュペルボレイアの術式を逆手に取り、装置が「月」だと認識するものを概念的に用意したと推測できます。




コメント